「NEW GAME!」概論

今学期大学に一度も行かずに夏休みを迎えました、11期の大島です。本稿では二度アニメ化されたきらら作品「NEW GAME!」について、その概略と魅力を簡単に紹介します。
2期までアニメ化されたことからも分かるように、「NEW GAME!」は多くの人を魅了しています。筆者もその魅力に惹かれた一人です。本作の魅力はどこにあるのか、少しでも伝えられたら幸いです。ぜひ最後までお読みいただければと思います。

なお、執筆現在で原作が10巻まで発売されていますが、今回は「NEW GAME!」を知らない人、軽く見ただけの人などのライト層を想定していますのでアニメ化された範囲のみを取り扱います。ネタバレ無しで書きましたので、ご安心ください。

「NEW GAME!」とは

「NEW GAME!」は芳文社の4コマ漫画雑誌『まんがタイムきららキャラット』にて連載中の4コマ漫画です。作者は得能正太郎氏で、2013年7月号から連載されています。他のきらら作品と同様、いわゆる日常系と呼ばれる系統の作品になります。2016年夏にアニメ化、翌年夏に第2期が放送されました。作中の「今日も一日がんばるぞい」というセリフが一時期大流行したことから、名前だけは知っているという方も多いのではないでしょうか。

あらすじ

アニメ「NEW GAME!」公式サイトでは以下のように紹介されています。

高校を卒業して、幼い頃に夢中になって遊んでいたゲームを作った制作会社「イーグルジャンプ」へ入社した青葉は、そこでそのゲームのキャラクターデザイナーを務めていた八神コウと出会う。
憧れの人の下で働くことになった青葉は、初めてのお仕事に戸惑いながらも、コウを始め個性的な先輩社員に助けられながら少しずつ成長していく。
ゲーム会社で働く女の子たちの日常を描いたお仕事ガールズコメディが今、幕を開ける!

ざっくり言えば憧れの会社に入社したら憧れの人と一緒になったって流れです。きらら作品の多くは学校(特に高校)を舞台としていますが、本作の物語の舞台は、お仕事ガールズコメディとあるように、ゲーム会社になります。これは作者の得能氏が実際にゲーム会社に勤務していた経験に基づいた作品であることが理由です。

きららの日常系作品はどれも日常にプラスアルファが加わっています。例えば『けいおん!』であれば「日常」+「音楽」、『ゆるキャン△』であれば「日常」+「キャンプ」というように。本作は「日常」に「お仕事」を加えた作品であると言えるでしょう。

「NEW GAME!」の魅力

1. 「立場」が生む立体的な人間関係

先述の通り、本作の物語の舞台はゲーム会社です。この設定がいわゆる学園系にはない立体的な人間関係を生み出しています。

学園系作品の多くは主人公とその周りの人々は同級生という関係にあります。先輩や後輩、教員など多少の上下関係はありますが、その年の差はせいぜい数歳です。多くの登場人物の年齢が横に並ぶ、直線的(1次元)な人間関係と言えます。

一方で、「NEW GAME!」は登場人物の年齢レンジが広いです。1期1話時点で主人公の涼風は18歳、その上司である八神コウは25歳です。さらに八神の年上のキャラも出てきます。入社時点で青葉の同期キャラは出てきませんが、ほとんど同い年のキャラが青葉と同じブースで働いており、横並びの関係もあると言えます。同い年の幼馴染もいます。これらから、「NEW GAME!」には登場人物の年齢関係が縦と横に広がる平面的(2次元)な人間関係があると言えます。

さらに、本作は同い年でも「立場」の違いという概念があります。例えばアニメ1期の八神は「キャラクターデザイナー」という役職ですが、八神の同期である遠山りんは「アートディレクター」という役職です。立場の違いによって生まれる上下関係と、年齢の上下関係が逆転することもあります。先ほどの年齢の平面関係に加えて、さらに立場という軸が加わることで本作の人間関係は立体的(3次元)であると言えます。

立体的となった人間関係は複雑で分かりにくいのではないかという疑問を持つかもしれません。しかし、最初から年齢と立場が入り混じる複雑な関係になる訳ではありません。実際アニメ1期の間は年齢と立場の交差は発生しません。また、このような関係は身近なものであり、実際はすんなりと受け入れられると思います。
本作のような立体的な人間関係を持つ作品は少ないため、視聴者にとっては新鮮な体験となるでしょう。特に「立場」の違いは本作の特徴であり、様々な出来事を起こします。これが「NEW GAME!」の面白さを生み出しているのです。

2. 主人公の明確な「目標」

主人公の涼風は「キャラクターデザイナーになりたい」というはっきりとした目標を持って入社します。この涼風の目標を軸に本作は進行していきます。作品の方向性が確立されているので、日常系が苦手な方でも楽しめるはずです。

涼風が目標を達成するべく日々奮闘する訳ですが、当然すんなり行かず、途中で何度も壁にぶち当たります。そんな時、涼風が試練をどう乗り越えるのか、先輩たちはどう支えていくのか。そして、壁を乗り越えた先に何があるのか。これに関しては詳細を話すとネタバレになってしまうため、ぜひアニメを観てください。

目標に向かってひたむきに努力する涼風を中心に物語は進みます。もちろん彼女の視点からでも作品は大いに楽しめるのですが、本稿を読んでくださった方にはぜひ周りの先輩たちの視点からも作品を楽しんで欲しいです。

3. 登場人物全員の成長

本作の主人公は涼風ですが、周囲の先輩たちだってまだまだ若手。彼女たちも後輩に刺激を受け、成長していきます。分かりやすいのは涼風の上司である八神の成長です。彼女は元々・・・これ以上言うとネタバレになりますね。

特に2期は涼風と八神だけでなく、同僚の滝本ひふみ、飯島ゆん、篠田はじめなど多くの人物が涼風の姿に影響を受けて成長していきます。中には自分と似た境遇のキャラがいるかもしれません。彼女たちと一緒に、一歩踏み出してみませんか?

アニメの続き

アニメ化されている範囲は原作1~4, 6巻です。アニメの続きを読みたい人はぜひ7巻以降を買ってみてください。

また、原作5巻はスピンオフとして涼風の高校生活が扱われています。なぜ涼風は高卒での就職を選択したのか、その過程が描かれています。内容としては独立していますので、ぜひ5巻だけでも買って、「NEW GAME!」の世界を味わってください。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。長々と自分の考える「NEW GAME!」の魅力を語りましたが、これが少しでも伝わっていれば嬉しいです。もちろん、ここに書ききれない魅力も沢山あります。ぜひ「NEW GAME!」をよろしくお願いします!